
血が 出たら、 まずスマホで 一枚 撮ってください
「便に血が混じっていた気がします」「吐いたものが赤かったような……」。診察室でそうお話しくださる方は多いのですが、正直に言うと、「どのくらい赤かったか」「どのくらいの量だったか」という記憶は、実はあまりあてになりません。人間の記憶は、焦っているときほど曖昧になるものだからです。
この記事を読んでいただくと、血便・吐血など「何か出た」と感じたときに、診察をぐっとスムーズにする、ちょっとした行動が分かります。結論から言うと、トイレや洗面器に残ったものを、慌てずにスマホで一枚撮っておいてください。それだけで、診察の精度がまったく変わってきます。
※ これは、落ち着いて受診できる軽症〜中等症のケースについてのお話です。意識が遠のく、出血が止まらない、冷や汗を伴う等「ただごとではない」場合は、写真より先に119番です。
「赤かった」だけでは、 実は 何も 分からない
目の前で起きたことに驚いて、頭が真っ白になってしまう——それはとても自然な反応です。「とにかく赤かった」「結構な量だった気がする」という記憶だけでは、正直なところ、医師としてもどこまで深刻に捉えるべきか判断しづらいのです。鮮やかな赤なのか、黒っぽい赤なのか。便にうっすら混じっている程度なのか、便器が染まるほどなのか。この「見た目の情報」こそが、原因を絞り込むための重要な手がかりになります。
スイカと 赤ワインの 名誉の ために
ここだけの話、「血便かと思って慌てて受診したら、前日に食べたスイカの種や赤い食材の色素だった」ということは、決して珍しくありません。逆に、鉄剤やビスマスを含む薬を飲んでいて便が黒くなり、それが実は本物の出血のサインだった、ということもあります。写真が一枚あれば、こうした「勘違い」も「見逃し」も、その場でかなりクリアにできます。スイカにも赤ワインにも、何の罪もないのです。
恥ずかしがらなくて、 本当に 大丈夫です
「こんな写真、撮っていいのか」「見せるのが恥ずかしい」——そう感じる方のお気持ちは、よく分かります。ですが、私たち医療従事者は、便も吐いたものも、仕事として日常的に目にしています。恥ずかしさよりも、正確な情報のほうが、何倍も価値があります。どうか遠慮なく、写真を撮ってお持ちください。
咳とともに 血が 出た 場合 (喀血)は、 少し 注意が 必要です
ここまでは主に血便・吐血のお話でしたが、せき込んだときに血が出る「喀血」は、量が少なくても気道のトラブルのサインであることがあり、血便・吐血とは注意点が異なります。少しでも息苦しさを伴う場合は、写真を撮る余裕を探すより先に、ご連絡・受診をお願いします。
院長からの メッセージ
もちろん、意識が朦朧とする、大量の出血が続く、冷や汗を伴う等、ただならぬ様子のときは、写真を撮る余裕があるかどうかより先に、迷わず救急要請(119番)してください。写真はあくまで、落ち着いて受診できる状況での心強い味方です。
次に「あれ、血かな」と思うことがあったら、慌てず深呼吸をして、スマホのカメラを一枚。その小さな行動が、診察をきっと助けてくれます。
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