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木花のむら総合診療所内科・外科・小児科
鼻からのインフルエンザワクチン「フルミスト」、鼻水が出ていても大丈夫?
健康・予防の話

鼻からのインフルエンザワクチン「フルミスト」、鼻水が出ていても大丈夫?

「注射じゃなくて、鼻にスプレーするワクチンがあるって聞いたんですが……うちの子にも使えますか?」。これまでの診療の中で、この時期になるとそうご質問いただくことが増えてきました。2024年から日本でも使えるようになった、鼻から接種するインフルエンザワクチン「フルミスト」のことですね。注射が苦手なお子さんや、毎年泣いて嫌がるお子さんを連れて行く保護者の方にとって、本当に心強い選択肢だと思います。

この記事を読んでいただくと、フルミストがどんな仕組みのワクチンなのか、そして接種の前に何を確認しておけばよいのかが分かります。結論から言うと、フルミストは鼻の粘膜に直接働きかけるワクチンなので、鼻水や鼻づまりがひどいときは効果が十分に発揮されにくいことがあります。せっかく受けるなら、鼻のコンディションを整えてから受けることが大切です。

なぜ「鼻から」接種するのか

通常の注射のワクチン(不活化ワクチン)は、腕に接種して、血液の中に抗体をつくることで備えます。一方のフルミストは、毒性を弱めたウイルスを使う「生ワクチン」で、インフルエンザウイルスが実際に入り込んでくる入り口である鼻の粘膜に、直接スプレーして接種します。

そうすることで、ウイルスの「玄関口」そのものに免疫(IgA抗体)をつくり、入ってこようとするウイルスをその場で迎え撃つ、という考え方のワクチンです。ただし、この仕組みがうまく働くには、スプレーした液が鼻の粘膜にしっかり触れて、とどまることが前提になります。

鼻水・鼻づまりがあると、なぜ効果が落ちやすいのか

次のようなときは、特に注意が必要です。

  • アレルギー性鼻炎や花粉症で、鼻水・鼻づまりがひどいとき
  • 風邪気味で、鼻水がたくさん出ているとき
  • 鼻をかみすぎて、鼻の中の粘膜が荒れているとき

鼻水が多いと、スプレーした液が粘膜にとどまらず、そのまま流れ出てしまうことがあります。また、粘膜が炎症で腫れていると、ワクチンがうまく付着できないこともあります。「痛い思いをせずに受けられたのに、効果が十分に得られなかった」ということにならないよう、接種の前の鼻の状態の確認がとても大切になります。

接種の前に確認していただきたいこと

アレルギー性鼻炎をお持ちのお子さんは、事前に鼻炎の治療で症状を落ち着かせておくと、フルミスト本来の効果を発揮しやすくなります。

接種の当日に鼻水や鼻づまりがひどい場合は、無理をせず、症状が落ち着くまで延期するか、注射のワクチンに切り替えることも選択肢のひとつです。「少し鼻水が出ているけれど、これくらいなら大丈夫かな」と迷ったときほど、遠慮なく医師に伝えてください。鼻の中の状態を確認したうえで、その日に接種してよいかを一緒に判断できます。

また、フルミストは生きたウイルスを使うワクチンのため、対象は原則2歳以上19歳未満です。その年齢であっても、次のような方は接種をお勧めできない場合があります。

  • 喘息がある、またはぜーぜー(喘鳴)を繰り返したことがある
  • 重い卵アレルギーがある
  • 免疫の働きが低下する病気がある、または免疫を抑える治療を受けている
  • 妊娠している

持病やアレルギーのある方は、必ず事前に医師にお申し出ください。

院長からのメッセージ

痛くないスプレーのワクチンという選択肢が増えたことは、お子さんにとっても保護者の方にとっても、本当に喜ばしいことだと感じています。

ただ、「痛くないから」という理由だけで選ぶのではなく、「今の体の状態に合っているか」まで含めて選んでいただくことが、結果として一番しっかりお子さんを守ることにつながります。

「今の鼻の状態で受けて大丈夫かな」「注射とスプレー、どちらがいいか迷っている」——そんなときは、どうぞお気軽にご相談ください。一緒に考えていきましょう。

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