
毎日の トマトジュース、 実は 逆効果かもしれません
「先生、健康のために、毎朝トマトジュースで野菜をとっているんです」。これまでの診療の中で、健診結果を見ながら、誇らしげにそうお話しされる患者さんによくお会いしてきました。野菜不足を気にして、手軽に続けられる習慣を選ばれたその努力は、本当に素晴らしいことだと思います。
ただ、少し意外に思われるかもしれませんが、トマトジュースはコレステロールが高めの方にはおすすめな一方、中性脂肪が高めの方には逆効果になることがある、いわば「両刃の剣」のような飲み物です。この記事を読んでいただくと、ご自身の健診結果のタイプに合わせた、トマトジュースとの正しい付き合い方が分かります。結論から言うと、ポイントは「無塩かどうか」と「ジュースか、生のまま食べるか」。この2つを押さえるだけで、同じ一杯が味方にも、注意信号にもなります。
なぜトマトジュースは 「両刃の剣」なのか
コレステロール(LDL)が高めの方には、心強い味方です。トマトの赤い色素であるリコピンには強い抗酸化作用があり、悪玉コレステロール(LDL)が血管の壁で酸化されて悪さをするのを防いでくれると考えられています。血圧にもよい影響が期待できるとされており、LDLが高めの方にとっては無理のない習慣のひとつといえます。
一方で、中性脂肪(TG)が高めの方には、少し注意が必要です。ジュースにする過程で食物繊維の多くが失われ、糖質が吸収されやすい状態になります。噛まずに飲むぶん血糖・中性脂肪への影響が出やすく、「野菜の代わり」のつもりで飲んでいても、中性脂肪が高めの方にはやや不利に働くことがあります。
タイプ別・賢い トマトジュースとの 付き合い方
ご自身の健診結果のタイプに合わせて、次のように選んでいただくのがおすすめです。
- LDL(悪玉コレステロール)が高めの方:無塩のトマトジュースを、1日1杯(200ml程度)までを目安にするのはおすすめです。塩分が多いタイプは血圧への影響が気になるため、「無塩」を選ぶのがポイントです。
- TG(中性脂肪)が高めの方:ジュースではなく、生のトマトをそのまま、よく噛んで食べるのがベストです。食物繊維が丸ごと残っているため、糖質の吸収がゆるやかになります。他の野菜と同じように、「噛んで食べる」習慣を優先してください。
- LDL・TGの両方が高めの方:飲む場合は「無塩・1日1杯まで」を守ったうえで、その分、夜のご飯(主食)を一口分だけ減らす等、1日の糖質量のバランスを調整していただくと安心です。
院長からの メッセージ
「体によい」とされる食品であっても、ご自身の血液検査のデータ(どの数値が高めなのか)に合わせて選ぶことが、遠回りのようでいちばんの近道です。
ご自身の脂質のタイプがよく分からない方、健診結果を見て食事をどう工夫したらよいか迷っている方は、どうぞ健診結果を持って気軽にご相談ください。一緒に、今の数値に合った無理のない付き合い方を見つけていきましょう。
