
院長のキャリア
「がん治療認定医」を、 更新しないと 決めた 日
「先生、昔は何をされていたんですか」。診察の合間に、そう聞かれることがあります。今日は、消化器外科医としてがん治療に携わっていた頃に取得した「がん治療認定医」という資格を、なぜ更新しなかったのか、その経緯をお話しします。
簡単には 手に 入らない 資格でした
がん治療認定医は、多くの症例数と手術実績、所定の研修・試験を積み重ねて、ようやく手にできる資格です。取得して終わりではなく、数年ごとの更新にも、厳格な実績と単位の維持が求められます。言い換えると、現場に立ち続けていることそのものが、資格を持ち続ける条件なのです。
苦渋の 決断でした
クリニックを開業するにあたり、外来で安全に抗がん剤治療を続けるには、高額な薬剤の管理体制や、化学療法に精通した看護師・薬剤師によるチーム体制を日常的に維持することが欠かせません。これらを、小さなクリニック単体で、常時十分なレベルで整えることは、現実的にはとても難しいことです。正直に言うと、資格を手放すことには、惜しさと葛藤がありました。それでも、地域の皆さんの日常に一番近いところで関わりたいという思いのほうが、最後は勝ったのです。
消えない 知見が あります
肩書は更新しませんでしたが、何千人もの患者さんのお腹を、そして全身を診てきた経験そのものは、消えてなくなるものではありません。日々の内視鏡検査で、ちょっとした粘膜の変化を見逃さない目。腹痛の裏に隠れた病変を疑う勘。それらは今も、私の診療の中でそのまま生きています。
「がんの専門医」という看板はありません。それでも、皆さんの日常のお腹の不安を、誰よりも丁寧に、正確に受け止める「身近で頼れる医師」であり続けると、ここでお約束します。
