
「生活習慣病」の レッテルで、 ご自身を 責めないでください
これまで健診結果の説明をしてきた中で、「不摂生のせいで、この数値になってしまったんですよね……」と、申し訳なさそうにおっしゃる方がいらっしゃいました。「どうしてこんなに運動したり、食事に気を使ってるのによくならないの?」と悲しそうにする方もいらっしゃいました。高血圧・糖尿病・脂質異常症と聞くと、「生活習慣病」という言葉が真っ先に浮かび、「自分の生活の乱れのせいだ」と感じてしまう方は少なくありません。
この記事を読んでいただければ、その自分を責める気持ちから、少し楽になっていただけるかもしれません。結論から言うと、高血圧・糖尿病・脂質異常症という診断名がついた方のすべてが、生活習慣病とは限らないのです。なぜそう言えるのか、具体的な例とともにお話しします。
「生活習慣病」の 定義には、 除外される ものが ある
生活習慣病とは、食事や運動、喫煙、飲酒といった生活習慣が発症や進行に関わる疾患群を指します。そして実は、家族性(遺伝性)のものはこの定義から除かれると、国の資料にも明記されています。つまり同じ病名であっても、生活習慣とは別の原因で起こる病態が、はっきりと存在するのです。
生活習慣とは 関係なく 起こる 代表的な 例
- 1型糖尿病:体内の免疫が、誤って膵臓のインスリンを作る細胞を攻撃してしまうことなどが原因です。幼少期や若い頃に発症することも多く、食事や運動とは一切関係がありません。
- 家族性高コレステロール血症(FH):遺伝的な体質によって、若いうちからコレステロール値が高くなる病気です。どれだけ食事に気をつけても数値が下がりきらず、早期からの薬物治療が必要になることがあります。
- 二次性高血圧・遺伝性の高血圧:高血圧の多くは塩分の摂りすぎや肥満も関わる本態性高血圧ですが、一部にはホルモン異常や腎臓の病気、お薬の影響で血圧が上がる二次性高血圧もあります。ご家族に高血圧が多く、若くして血圧が高くなる方もいらっしゃいます。
院長からの メッセージ
これまでの外来では、「甘いものを食べ過ぎたから糖尿病になったの、と言われて傷ついた」「毎日気をつけているのに数値が下がらず、自分が責められている気がする」というお話を伺うことがありました。病名だけを見て、ご本人や周囲が「自己管理ができていないせいだ」と決めつけてしまうのは、とても切ないことだと感じています。
大切なのは、その数値の上がった背景に何があるのかを見極め、その方に合ったアプローチを選ぶことです。生活習慣の見直しで大きく変わる方もいれば、体質に合わせてお薬の力を借りるのが一番の近道になる方もいます。
「健診で指摘されたけれど、思い当たる原因がない」「がんばっているのに数値が変わらない」——そんな不安があるときは、お一人で抱え込まず、一度ご相談いただければと思います。
